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珠玉のハイファンタジーコンセプトアルバム

TVアニメ『ひぐらしのなく頃に』エンディングテーマや、『ひぐらし~』イメージアルバムの制作などで知られるレーベルVoltage of Imagination(VOI)。そんな彼らの真髄でもある、オリジナルコンセプトアルバムの最新作『Yggdrasill Minstrelsy - The Eternal Skywalker -』が完成した。今回モチーフに選ばれたのは「ユグドラシル(世界樹)」。オーケストラとトラッドミュージックが紡ぐ、ハイファンタジーの世界へようこそ!
文・構成・取材:前川誠

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Voltage of Imaginationオフシャルサイトにて、サンプル曲をフルコーラス配布中!
http://www.voltagenation.com/

■アルバムを作りあげた異才たち

大嶋啓之(Sound Produce)
テクノ、ニューエイジ、民族音楽など多様なジャンルの楽曲を制作する。音楽配信サイト「muzie」をきっかけにVOIに参加。『ORBITAL MANEUVER』のサウンドプロデュースや、TVアニメ『ひぐらしのなく頃に』エンディングテーマを担当した。

interface(Concept Making & Lyrics)

新潟県在住。ほぼすべてのVOI作品に、作詞やコンセプトメイキングで参加。VOIを象徴する存在と言っても過言ではない。VOIの楽曲制作などで知られるbermei.inazawaが主宰するCampanellaの一員として、精力的に活動中。

ウスダヒロ(Art Direction)
フリーイラストレーター。ハヤカワ文庫の挿絵や『ディメンション・ゼロ』(ブロッコリー)、MMORPG『PERFECT WORLD ─完美世界─』日本版(C&Cメディア)のイラストなど、ファンタジーやミステリーを中心に幅広く活動を続ける。

■作品を彩る歌姫たち

Lia
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クラシックからジャズ、ゴスペルまで様々な音楽を歌いこなすシンガー。15歳で渡米しトレーニングを積んだその歌声は「クリスタルヴォイス」と称される。これまでにゲーム『ビートマニア』、TVアニメ『イニシャルD』サウンドトラックアルバム、『AIR』劇場版とテレビシリーズのオープニングとエンディング曲など、様々な分野でその歌声を響かせている。現在、昨年9月ZEPP TOKYOで行われた1年半ぶりのワンマンライブの模様を収め活動中。
official web site "Lia's Cafe"
http://lias-cafe.com/

Ikuko
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85年よりプロのボーカリストとして活躍。数々のCMソングやTVアニメ、ゲーム音楽、コーラスなどのスタジオワークや、ジャンルを超えたアーティストのステージサポートなどを手がけてきた。06年にはゲーム『モンスターハンター2』の「歌姫」の歌を担当し、話題を呼ぶ。その他にボイスヒーリングやレイキ(ハンドヒーリングの一種)、クリスタルボウル(音楽療法などでも使われる水晶のボウル)を使用した独自のライブなど、精力的に活動を展開している。
official web site
http://www.music-net-jp.com/ikuko/


■大嶋啓之インタビュー
コンピュータを母胎に、様々な音楽を産み出す大嶋啓之。VOIの作品でも幾度となくフィーチャーされ、本作ではサウンドプロデュースを担当した彼に、話を訊いた。

――VOIのコンセプトである「映画のような音楽」を作るときには、いつもどういった手順を踏むものなのですか?
 まずコンセプトメイカーのinterfaceさんが、とても綿密なテキストを書かれるんです。それをとにかく読み込んでイメージを膨らませるのが最初にやることですね。テキストが難解なので、時間がかかるんですが。
――今回のテーマは北欧神話に登場する世界樹、ユグドラシルですが。
 ただ、ストーリーに北欧神話の神様が出てきたりだとか、そういうことはないんです。世界樹というものをひとつの象徴として捉えて、そのキーワードを元にストーリーを構築した、ということで。
――コンセプトを楽曲に落とし込む際、参考にした作品などは?
 海外の民族音楽のCDはいくつか参考にしました。アーティストものだと、ニュージーランドの歌手のヘイリー・ウェステンラとか、ロリーナ・マッケニットとか。
――ちなみに大嶋さんの音楽的なバックボーンは?
 存在が大きいのはゲームミュージックですね。あとは、ヒーリングとかニューエイジなんて呼ばれるものは昔からよく聴いてました。ですから本作のようなテイストは、昔から得意な分野なんです。
――では楽曲制作も楽しめたのでは?
 そうですね。かなり楽しんでやらせてもらいました。ただ『ORBITAL MANEUVER』の頃と比べると話が大きくなっていて、今回に至ってはLiaさんとかIkukoさんなんて凄い方が参加することになって……。そんななかで、本当にこんなマニアックな曲調で良いのかと自問することはありましたね。
――何度か方向修正は施したんですか?
 もちろん推敲はしました。でも決して現代的な、いわゆるポップスな曲はひとつも作らなかった。それだとコンセプトからズレてしまうので。……というか私の趣味を全開にして作っただけなんですが(笑)。
――歌詞が造語というのに驚きました。
 最初はinterfaceさんが英語で書かれたんですが、どうしても文章が上手く流れなかった。それならばいっそ造語が良いんじゃないかということになりまして。日本語で書かれた歌詞をフィンランド語やドイツ語などに置き換えて、言葉を並び替えて、そこから更に私がメロディーに合うようにいくつか音を置き換えたりして完成させました。
――でも不思議とポップな手触りがあり、とても素直に聴ける作品だと思いました。さて、今回は楽曲中様々な楽器が登場しますが、これについてはどういった基準で選ばれたのでしょうか?
 ストーリー自体が3部に分けられているんですが、最初の4曲は主人公が城の中にいる。そこはそのまま城をイメージしてオーケストラ楽器で表現しました。その後の5~8曲目は主人公が旅をする。そこでは、ヨーロッパの民族音楽を取り入れました。主人公が東西南北を旅するので、東欧、西欧、南欧、北欧の音楽を取り入れようと。そして最後の2曲は、それまでの要素をすべてまとめる形で作りました。
 でもさすがに、今回は打ち込みの限界を感じましたね(笑)。だいぶ頑張りましたが、やはりオーケストラを打ち込みでやるのは大変でした。「Requiem for the hermit」みたいに使う楽器が少ない曲は、そんなに手間じゃなかったんですが。あ、でもあの曲にはボーカルのアカペラがあるんですが、そんなことができたのもボーカリストの表現力がすごいからで、そこについてはかなり感動しました。
――ボーカリストのお2人に関しては、それぞれどういった理由で選ばれたのでしょうか?
 オーケストラ系と民族音楽系それぞれを代表するようなボーカリストに声をかけさせて頂きました。Liaさんはファンタジー系に関わったことはないんですが、オペラ的な発声がすごくハマる方ですし、Ikukoさんは普段から民族音楽などを歌われている方なので。
――レコーディングはいかがでしたか?
 とにかく感動しましたね。それぞれキャリアのある方なので、自身にディレクションを出してどんどん物事を進めていき、あっという間に終わってしまう。今までそういう経験がなかったので驚きました。レコーディングのときbermei.inazawaさんが隣にいたんですが、「いやあ、スゴイことになってるね」って言い合ってました(笑)。レコーディングなのにライブを聴いているような感覚というか。余りにスゴ過ぎて、つい笑ってしまいました。
――そういったことも含めて、制作はいかがでしたか?
 レコーディング以外、基本的に家に篭って楽曲制作をしているのでもちろん煮詰まることもありましたが、それでも最終的には楽しめました。
――どういった聴かれ方をして欲しいですか?
 ストーリーの流れがあるので、ランダムに聴いたら意味がなくなってしまうんですね。なので1曲目から10曲目まで順番に、通して聴いてもらえるのが理想です。
――確かに歌詞もイラストも併せて、ひとつの大きな流れを作り出していますね。それこそ「映画のように」楽しめる作品だと思います。ちなみに今後の展望は?
 次に何か作るならば、もう少し違うジャンルのものが良いですね。というか、しばらくオーケストラと民族音楽はやれません(笑)。ネタが尽きたので。今はダンスポップとか、男性ボーカルものとかに興味があります。
――では最後に、大嶋さんにとってのVOIとは?
 ハヤカワ文庫のような存在。マニアックな方向に向けて全力で突っ走っているので、その方向のファンにはすごく喜ばれる。でも、ベストセラーは10年に1冊という(笑)。
 まあそれはともかく、本作を見てもらえれば一目瞭然ですが、読み手や聴き手のイマジネーションを喚起する作品作りこそが、VOIなんです。だから手に取った人は、自由にイメージを膨らませてみて欲しいですね。

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